メイン名よりも先に

どうかこの人生にあったことを何年経っても忘れませんように。重度言霊信仰者

感受性豊かにお団子を食べに行きました

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「お団子が食べたい」

 

唐突にそんな思いが

三コマ目を終え定期券を更新しに

駅へ向かう私の中にぽつり、と浮かんだ。

 

時刻は八つ時の少し前。

二・三コマと連続で授業をうけた私の体が、

何かを訴えていたのかもしれない。

しかも週の終わりである。

金曜ロードショーの日だ。

 

 

定期券更新という

一つの任務を終えた頃には、

もう私の頭は

お団子のことでいっぱいになっていた。

 

 

お団子…お団子が食べたい。

 

お団子が頭の中をぐるぐる回る。

 

 

コンビニとかでよくある三本入のお団子を買うのはどうか、と頭の中の私が口を開いた。

 

すかさず、もう一人の私が言葉を返す。

いや、三本は多すぎる。

先程、明日明後日の為にお金をおろしたであろう。それを少し使い、本格的なものを食べないか。

 

そういえば、

松江城の京町に団子屋があると聞いたことがある。お前は、今まで記憶のあるうちにそこへ行ったことはあるか。

 

ない。初めてだ。

 

きっと今日このような状況になったのは

何かのご縁。五コマに間に合えば良いのだ。

 

 

こうして、さねぴょんはお団子に出会いに行く事となる。

 

―――――――――――――――――――――

 

いつも渡る大橋から学校へと向かう道を逸れ、団子屋へと向かう。

 

この道を通るのは初めてだ。

私の中の無邪気な子どもが

声をあげ喜んでいる。

 

今の学校へ通うことになってこの春で二年目。

新鮮さを求めるのは難しくなる日々に

どこかもやもやしていた私の気持ちが、

少し満たされた。

 

いやいや、満たされたるのはまだ早い。

私が本当に満たされるのは、この自転車が向かう目的地・団子屋でお団子を食べた時だ。

 

そんな会話を脳内でしながら

ペダルをこぐ私の足が

 

少し、止まった。

 

 

 

「猫ちゃんんんんんんん!!!!!!」

 

猫だ。

この辺りを住処にしているのだろうか。

それは悠々と、私の前に歩み出た。

 

「んね…猫ちゃーーーーんんんんんん!!!!」

 

可愛い。

猫という生物はみなそうなのだろうか。

とにかく可愛い。

子猫の時だけでなく、大人の猫になっても。

ふわふわなその佇まいは人間を魅了する。

 

私は一旦自転車を停め、接触を試みた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラれた(´•ω•̥`)

 

 

 

 

 

 

私の大きい自転車を恐れたのか、

タタタタタッと猫らしく、横断歩道も通らずに

道の向こうへと行ってしまった。

 

 

 

私は自転車に乗りなおし、

人間らしく横断歩道を渡りに行った。

 

これが、悔し紛れにとった写真である。

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画質があまりよろしくないのが

さらに悔しくなってくる。

 

 

 

 

そんなこんなで目的地付近に着いた。

遊覧船の通る川沿いで、

綺麗な花の写真を撮っている人がいたので、

私も便乗して撮った。

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センスはまた磨くとしよう。

普通の桜とは違い、

柳のように垂れ下がって咲くこの花の種類は

何という名前なのか気になりもしたが、

今日のメインが違うことを思い出し、

それはまた別の機会に調べよう、

と頭の片隅に置いて

私はメインへと足を運んだ。

 

 

 

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ここが私が目指していた目的地

松江城の近くの京町にある

甘味喫茶【月ヶ瀬(つきがせ)】である。

 

まず建物に入ると、ショーケースに並ぶ色とりどりの団子たちと目が合った。

そこは、別の種類の和菓子も

ショーケースの周りに並んでおり、

私の心を弾ませた。

何とも幸せな光景である。

 

そして、席に通されやっと注文するに至った。

私は抹茶と団子二本がセットになっている

メニューを注文した。

団子二本は自分で選ぶことができた。

沢山の種類の団子があることに喜びを感じながら、私はみたらしと「花より団子」という季節限定の団子を注文した。

その名前と己の状況が重なり、微妙な笑みを浮かべたのは、ここだけの話である。

 

 

さて、やっと小腹を満たすものが来た時、

私は驚きを隠すことができなかった。

 

運ばれてきた抹茶が

注がれていなかったのである。

 

代わりに手のひらに収まるくらいの

小さな蓋付きの容器と、

黒い急須が盆にのってやってきていた。

何やら、箒のような木製のものもついている。

 

 

これはもしや…

 

「お抹茶、たてられたことありますか?」

 

 

やはりそうであった。

 

 

ないです、と自信なさげに言うと

店員さんはにっこり笑って

たて方を教えてくださった。

 

思えば、抹茶をたてるその行為を見るのは

いつぶりであろうか。

店員さんの細くて白い綺麗な手が抹茶を作り出すのに、そう時間はかからなかった。

 

そうしてこうして、

私はやっと自分の中の欲求に応じることができた。

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プラスチックの容器ではなく、

お皿の上に綺麗に並べられたお団子。

抹茶もそれに劣らず、しっかりと存在を主張しており、何とも立派な眺めである。

 

抹茶をいただく前に、

甘いものを口に入れるのか。

私は最初にピンク色の菓子をつまんでから椀を手に取り、喉を少し動かした。

抹茶の善し悪しがわかるほど、

私は抹茶とは馴染みがないのであるが、

とても安心することだけはよくわかった。

 

そして念願のお団子を手に取る。

 

まずはみたらしから。

 

口に含むと、私は自分の体にしっかりと日本人のDNAが刻まれていることを知らされた。

美味しい。ただただ美味しい。

はて、自分が最後に団子を食べたのは

いつだっただろうか。

日本の菓子との久しぶりの再開に、

舌は喜びを叫んでいた。

 

ああ、もう串から二つ団子がない。

私は一旦みたらしの串を置き、

その隣のお団子へと手を伸ばした。

 

「花より団子」

ピンク色の何とも可愛い団子に、

黒くない餡がのっている。

私は一口食べて気がついた。

自分は今、桜餅を食べている。

そう思ったのは、

黒くない餡の影響があったのだろう。

これはますます抹茶が進んでしまう。

嬉しい悩みだ。

 

そうやって、私は一時の幸せを

それはもう言葉通りに噛みしめていた。

 

注文した抹茶は、二杯分の量があった。

先程は店員さんにやっていただいたが、

そう何回もお願いはできない。

 

私は、記憶のある中では初めての

お茶たてをした。

 

ふと、

茶道部に所属している友人の顔が

二つ浮かんだ。

彼女たちが茶をたてる姿を

見てみたいと思った。

 

今度ここへ一緒にお団子を食べに来よう。

 

一人の時間も十分楽しいが、

同じ喜びを分け合える人が近くにいれば

もっと素敵な時間になるのだろうな

と思った。

 

 

こうして、私は充実したおやつの時間を過ごしたのである。

 

あぁ、このような素晴らしい食べ物のある

日本に生まれて、本当に良かった。

 

いつも叫ぶ

「島根、好きだーーーー!!!!」も今回だけは

「日本、好きだーーーー!!!!」になってしまう。

 

日本、好きだーーーーー!!!!!!!!!

 

 

満足してお店を出る時に、店員さんとの会話も少し弾み、ますますここへの愛着がわいた。

 

また絶対来よう。

そう誓って、

私はエンジンのない二輪車に足をかける。

 

エンジンのないはずなのに、

学校への道まではとても早く感じた。

アドレナリンでも出ているのだろうか。

自転車は、通りをぐいぐい進む。実に爽快だ。

 

道には、ランドセルを背負った子どもたちが、

自分の家へと賑やかに帰っている。

 

そうだね、もうそんな時間だ。

お家に帰って、

ゆっくり自分の時間を過ごしてね。

 

 

お姉さんは…

 

 

 

 

 

 

今から授業なんですよおぉぉぉぉぉぉ!!!!

 

 

 

 

声にならない叫びが、

ペダルをこぐスピードをさらに加速させた。

 

 

【完】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っひゃーーーー!!!!

お読みいただきありがとうございました!

実に3000字!

今ここを読んでいるそこの貴方様、

3000字読んだんですよ!!!

本当にありがとうございます!!!!

 

もはやこれ、ブログじゃない…orz

小説じゃん…

 

でも、本当に書きたいことをツメツメすると

(某アニメーションのパズルゲームか)

こうなっちゃうんですよね…

 

重ね重ね感謝の気持ちを述べます。

ありがとうございます…!

 

はーーーっ!楽しかった!!!!!!